EMC
クリスタルチャペルコンサート
2003年
演奏風景、プログラム

佐野健二のリュート音楽の楽しみ第51夜
ジャーマン・テオルボの響き
Shakespeare Music
2003.05.28.


平井満美子/ソプラノ 佐野健二/ジャーマン・テオルボ
2003.05.28.

 クリスタルチャペルコンサート佐野健二のリュート音楽の楽しみ第51夜は「ジャーマン・テオルボの響き」題し、バロック後期のドイツ音楽を中心に演奏いたします。
 アラブに源を発し、十字軍の遠征によりヨーロッパに持ち込まれたリュートはそのエキゾチックな形態と澄んだ響きにより、瞬く間にヨーロッパ全土に広がりました。和声を中心としたルネサンス音楽から、対位法的な手法を重んじるバロック時代の音楽への移り変わりはリュートにも大きな変化をもたらし、17世紀初頭、リュート奏者たちは新しい時代に対応すべく、豊かな低音を持った長いアーチリュートを考案し、試行錯誤の果てにバロック音楽に適した新しいリュート調弦を生み出しました。
 優雅なアーチリュート形状のスワンネックを特徴とするジャーマン・テオルボ。ルネサンスからバロック時代に大きく花開いたリュートの最終形とも言えるバロックリュートです。バッハやヴァイスといったドイツの後期バロックの巨匠たちはこの楽器の為に多くの優れた作品を作り出しました。その繁栄故、リュートは心残りなくその後の深い眠りにつく事が出来たのかも知れません。



Programme

●Silvius Leopold Weiss ヴァイス (1686~1750)●
シャコンヌCiacona

●Johann Sebastian Bach バッハ (1685~1750)●
「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」より
コラール:満ち足りて 心安らかたれ Gib dich zufrieden und sei stille
汝の生命なる神のうちにて、こころ安らかたれ。神こそ汝の泉、太陽。日々輝いて汝に歓喜を与えるもの
アリア:タバコずきの信心 Erbauliche Gedanken eines Tobackrauchers
パイプにタバコを詰める度に、人生も同じと教えてくれる。みるまに灰になり肉体も塵に帰るのみ
アリア:御身が共にあるならば Bist du bei mir
御身の麗しい手が わが眼を閉ざすなら 喜び行こう死の安らぎへ わが最後の時はどんなに楽しいだろう
 
●Georg Philipp Telemann テレマン (1681~1767)●
彼の下僕だ!、甘えん坊、「酒に溺れる」ことについて
Sein Diener! - Mutter=Sohne - Ueber das niedersachsische versapen

●Georg Friedrich Handel ヘンデル (1685~1759)●
ルクレツィア:永遠なるローマの神々よ Lurezia : O Numi eterni!
ああ神よ 私をだました酬いに あの邪悪な罪ある女の身体を 雷で引き裂いて 灰にしておくれ

●Silvius Leopold Weiss ヴァイス●
ソナタ「不実な女」Sonata "L'Infidele"
Entr仔 - Courante - Sarabande - Menuet - Musetto - Paysane
アントレ・クーラント・サラバンド・メヌエット・ミュゼット・ペザンヌ

休憩

●Chorales harmonized by J.S.Bach バッハの和声付けによるコラール集●
主よ、私の喜びよ Jesu, priceless treasure
純粋な喜びの源である主よ 私の心は不安でおののき 永く喘いできた。主は私の悲しみを取り除く愛の光
永遠なる別れ Farewell, henceforth for ever
愚かな行いに決別し 主の御心に癒されよう この地において 神の愛により生かされ 私は主を敬慕する
この世に無駄なものは何もない Things of naught are earth's vain treasures
この世に無駄なものは何もない 悲しみや罪は私を惑わすが 私の心は主と共に 来れ 眠りのごとき死よ

●Johann Sebastian Bach バッハ●
ソナタ Sonata in G minor BWV 1001
Adagio - Fugue - Siciliana - Presto
アダージォ・フーガ・シチリアーノ・プレスト

●Johann Sebastian Bach バッハ●
アリア:満たしたまえ、御身ら天なる神のみもとより出ずる焔よ
Erfullet, ihr himmlischen, gottlichen Flammen from Cantata BWV1
御身を慕い求めるこの信仰の胸をば満たしたまえ 魂は愛の烈しき促しを覚え天なる愉悦を味わうなり


● 平井満美子/ソプラノ
 神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究、中世よりバロックまでのレパートリーを持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野健二とのデュオCD6点全ては雑誌「レコード芸術」の推薦盤に選ばれ、デュオリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。日本、イギリスにてE.タブと共演、好評を博す。その広い音域と澄んだ歌声は古楽のジャンルにとどまらず、テレビコマーシャルの音楽にも活躍している。

●佐野健二/ジャーマン・テオルボ (13-course Baroque Lute = Martin Haycock 2002)
 英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H・クワイン、B.オー、J・ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。朝日カルチャーセンター、相愛大学音楽学部非常勤講師。

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