クリスタルチャペルコンサート第92回は「ジロラモ・フレスコバルディ」の作品をお聴きいただきます。 ジロラモ・フレスコバルディ(1583-1643)は、イタリア初期バロックの大家、モンテヴェルディと並ぶ重要な人物です。モンテヴェルディが主として声楽のスペシャリストであったのに対して、フレスコバルディは器楽、特にオルガンやチェンバロなどの鍵盤音楽の分野で偉大な業績をおさめイタリア音楽史上、最大のオルガニストとされています。 フレスコバルディの声楽曲には、フィレンツェの宮廷オルガン奏者を務めていた1630年に刊行された「アリエ・ムジカーリ」の第1巻と第2巻があります。ルネサンス風の有節歌曲からバロックのモノディー様式等、当時の代表的な声楽スタイルに乗っ取った秀作が多数収められています。 その鍵盤作品に比べるとあまり日の目を見ないフレスコバルディの歌曲ですが、その理由としては時代的にバロックの草分け的存在のカッチーニ等の次の世代に属しながら声楽曲においては斬新な試みが見られない為と思われます。 声楽曲同様、鍵盤以外の器楽曲も重要視されておりませんが、「様々な楽器により演奏出来るカンツォーナ集」は演奏する楽器により趣の変わる魅力的な曲集として愛好されました。 フレスコバルディは残念ながらリュートの為の独奏曲は残したとはされておりません。しかしながら、本日アーチリュートのソロでお聴きいただく「トッカータ」「カンツォン」は表題に「スピネットもしくはリュートの為」と明記されています。フレスコバルディ自身は鍵盤で演奏したと思われますが、その音域からはリュートでの演奏も前提にしたものである事は明らかです。 リウトアテオルバートの為にアレンジされたソロ曲「アリアと変奏」は作者自身が「ラ・フレスコバルダ」と名付けており、その作品に対する自信の程がうかがえる彼の代表作のひとつです。 |