クリスタルチャペルコンサート2006年度「カメラータのもくろみ」シリーズ第93回はイタリアバロック、ローマ楽派の音楽家「ジャコモ・カリッシミ」の作品をお聴きいただきます。 ジャコモ・カリッシミ(Giacomo Carissimi, 16045-1674) は、生涯イタリアで活躍した大音楽家です。教師としても有能で、彼の業績とされる室内カンタータ、オラトリオ、そしてレチタティーヴォの発展の影響力はヨーロッパ全土に及んでいたと言われています。 カリッシミはアッシジの礼拝堂の指揮者、ローマの聖アポリナリス教会の楽長といった教会音楽の要職に一生を捧げ、室内カンタータとオラトリオの発展にも寄与し、オラトリオに関しては最初の重要な作曲家とも言われています。彼が活躍した時期は世俗音楽が宗教音楽の地位を脅かそうとし出した時期でもありました。劇的な演技を伴うオラトリオ形式を確実なものにした彼の業績は、その時代背景があってのことかも しれません。 バロック音楽の創始者とも言えるモンテヴェルディが始めたレチタティーヴォ(朗唱)をいっそう発展させたカリッシミは、劇音楽の歴史にも名を残すこととなります。 またカリッシミは声楽曲の器楽伴奏に、非常に様々な多様性を提示し、技巧的な旋律と相まり数多くのドラマチックな作品を生み出しました。 今日使用するアーチリュートはリュート史上、最も大型で多弦の楽器です。豊かな音量と低音を持つこの楽器は17世紀イタリアで、新しい趣味の音楽には不可欠な楽器として発明され、ヨーロッパ中に広まりバロック期を通して愛好されました。ルネサンスに於ては声楽曲よりの発展物といえた器楽曲も、バロック時代においては新たな方向を模索しなくてはなりませんでした。その結果、本日のリュートソロ曲の作者であるピチニーニ Alessandro Piccinini(1566-c.1638)、 ライモンド Pietro PaoloRaimondo、ラウレンチーニ Laurencin da Romaらは創作意欲を刺激され、新しい時代の音楽と楽器にふさわしい響きを作り出しました。 |