105回目のクリスタルチャペルコンサートは
バロックダンサー湯浅宣子さんをお迎えして「バロック宮廷ダンスの楽しみ」です。
10月1日発売の新CDは、ムルシアのギター曲と当時の舞踏譜を湯浅宣子が検証し、実 際に踊れる寸法で演奏されたバロックギター独奏作品集です。本日はそのムルシアの 『ギターによる伴奏の概要 Resumen de acompanar parte con la quitarra (1714)』 よりギターソロと踊り、フランスバロックの宮廷歌曲、そしてイギリスのオルフェス と呼ばれたヘンリー・パーセルの歌曲と当時ロンドンの劇場で踊られていた舞踏を演 じます。 <湯浅宣子によるCDライナーノートより抜粋> 太陽王としてフランスに絶対王権を確立したルイ14世は音楽やダンスの庇護にも積 極的だった。 1661年王立舞踏アカデミーを設立しフランス宮廷におけるダンスの発展 を奨励、ダンス教師に命じて舞踏の記譜法を確立させた。 これは開発者ボーシャン Pierre Beauchamp と、『コレグラフィー (舞踏記譜法) Choregraphie (1700)』 とし て出版した フイエ Raoul-Auger Feuilletの名をとってボーシャン=フイエ・システム と現在呼ばれている。 このシステムにより約350の舞踏譜が残されている。フランス では毎年秋に舞踏譜集 Recueil de danses が発表され、翌年の舞踏シーズンのレパー トリーとして学ばれた。 フイエ自身が1702年出版の舞踏譜集の序言に書いているよう に、この舞踏譜集により「ダンスの中心地パリから遠く離れて住む人々が舞踏会用の 新しいダンスを学ぶ」事も出来たのである。 ボーシャン=フイエ・システムによりフ ランス宮廷のダンスは各国の宮廷へと広がり、宮廷文化の模範とされた。 それでは今宵、EMCレコードの新CD発売記念コンサートとして18世紀のスペイン、フ ランス、イギリスに花開いた音楽と舞踏をお楽しみ下さい。 |
●湯浅宣子/バロックダンス
立教大学卒業。教会音楽学校他で古楽演奏を学ぶ。バロックダンスをP.ウェイト、
ルネサンス、カントリーダンスをP.ディクソン、D.クリックシャンク各氏に師事、バ
ロックダンスをP.-W.ボーゲス、T.ベアード、K.ピアース各氏に学び、古典マイム
をS.ボーデン氏に学ぶ。2004、06年英国コンソート・デ・ダンスバロック日本公演ツアー
を企画・出演。毎年英国で古楽祭、ダンス公演に出演、国内各地で講習、公演を行って
いる。舞台衣装をすべて考証し自作。英国コンソート・デ・ダンス・バロック所属、
英国ロスティボリ・ルネサンスダンス・ゲストダンサー、英国アーリーダンスサークル
会員。岡山アーリーダンスクラブ代表。
●平井満美子/ソプラノ
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、
E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを
中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを
持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、
その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野
健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュ
オリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージック
カンパニー主宰。NHK文化センター講師
●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.
ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。
演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選
出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」
「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサ
ンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音
活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。
現在、相愛大学非常勤講師、アーリーミュージックカンパニー主宰。2007年EMCレコー
ド設立。