106回目のクリスタルチャペルコンサートは、ルネサンスの時代に愛された「古き良きイギリスのはやり歌とキャロル」を演奏致します。今回演奏しますはやり歌はEMCレコードより12月1日にリリーズの新CD「王女たちのお気に入りThe Princessesユ Pleasure」に収録されている私どものお気に入りの曲でもあります。 16世紀エリザベス朝のイギリスは経済、文化、芸術と、総てに花開いた黄金時代であり、音楽も宮廷人から庶民まで、総ての階級の人々に愛されておりました。宮廷ではすぐれたリュート弾きを召し抱える事を誇りとし、貴族たちは音楽を自らたしなむ事を自慢とし、人々はうれしいにつけ、悲しいにつけ、自らの気持ちを楽の音に託しました。様々な音楽の中でもはやり歌は、最も生活に密着した音楽として、生まれ育ちました。フォークソングは人の心の様を、愛らしく、親しみやすい旋律にのせて、表わしたのです。 キャロル“Carol”とは賛美歌の意味。賛美歌とは神を賛える歌であります。16世紀イギリスの人々は、ごく自然にはやり歌の旋律にのせて救い主の誕生を祝いました。イギリスのはやり歌は、旋律の心地よさゆえに、世界中で親しまれており、これらのメロディーには地域や時代差で色々な歌詞を見い出すことができたのです。イギリスに於けるフォークキャロルの繁栄は、音楽とキリスト教が人々の生活に根差していることの現われでもあるでしょう。 それでは今宵、CD発売記念コンサートとしてイギリスのはやり歌とフォークキャロルの数々をお楽しみ下さい。 |
●平井満美子/ソプラノ
神戸女学院大学音楽学部声楽科卒業。卒業後、古楽の演奏に興味を移し研究を始め、
E.カークビー、J.キャッシュ、C.ボットらに学ぶ。現在、ルネサンスよりバロックを
中心に、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの幅広いレパートリーを
持つ、数少ない古楽の歌い手として活動している。多くのコンサートと録音を行い、
その演奏は新聞、音楽誌等にて常に高く評価されている。現在までに発売された佐野
健二とのデュオCD全ては雑誌「レコード芸術」「音楽現代」等の推薦盤に選ばれ、デュ
オリサイタルに対しては「大阪文化祭本賞」を受賞している。アーリーミュージック
カンパニー主宰。NHK文化センター講師
●佐野健二/ルネサンスリュート、リウトアテオルバート
英国・ギルドホール音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.
ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。
演奏活動に対し、「ジョン・クリフォード・ペティカン賞」「ロンドン芸術協会選
出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭奨励賞」「音楽クリティック・クラブ新人賞」
「神戸灘ライオンズクラブ音楽賞」「大阪文化祭賞」(二回)を受ける。現在、ルネサ
ンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音
活動を行っているが、そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。
現在、相愛大学非常勤講師、アーリーミュージックカンパニー主宰。2007年EMCレコー
ド設立。
●村上 佳子 Yoshiko Murakami/イラストレーション
講談社フェーマススクールズを経て、フリーイラストレーターとして活動。音楽や
動物をモチーフに描くことが好きで、音楽家とのコラボレーションはライフワークの
ひとつ。その作品は様々なコンテストに入選し評価されている。
村上佳子Web Art Gallery http://www.emclute.com/luteillust/